ジョージア州は2020年アメリカ大統領選挙のニュースで接戦が繰り広げられている州として話題になりました。
その時アメリカのニュースでは、ジョージア州を”The Peach State(ピーチ州)”と表現することがありました。
なぜピーチ州なのでしょうか?ピーチが州の名産なのでしょうか?
しかし2019年の米国での桃の生産量の1位は、カリフォルニアで米国の総生産量の2/3にあたります。
次いでサウスカロライナ、ジョージア、ペンシルベニア、ニュージャージーと続きます。
しかもジョージアの桃の収穫量は減っており、2012年にブルーベリーの収穫量が桃の収穫量の3倍以上となっていると言われています。
ピーチ州の由来
なぜピーチ州と呼ばれるようになったのかは、16世紀にさかのぼります。
フランシスコ会の僧侶たちは、16世紀ジョージア州のセントサイモンズとカンバーランド島に桃をもたらしました。そして18世紀にチェロキーインディアンがそこで桃を栽培しました。
南北戦争(1861-1865年)後、ジョージア州の農民が綿花の代替え品を探していた時に、桃の生産が爆発的に増加しました。そして桃の生産に成功したので”ピーチ州”というニックネームを得ることになりました。そこからジョージア州=ピーチ州となったのです。
またピーチは州の公式フルーツに定められています。
色んなニックネーム
ジョージア州は他にも、ニックネームがあります。
・The Goober State(グーバー州) (Gooberは昔の言葉でピーナッツの意味。ジョージアの公式の州作物です。)
・The Empire State of the South(南の帝州国)
などです。
公式な州〇〇とは?
アメリカには州ごとに州を代表するものを登録し、シンボルとしています。
シンボル①公式な州 作物:ピーナッツ
ジョージア州は1995年にピーナッツを公式の州作物に指定しました。アメリカのピーナッツのおよそ50%を生産し、輸出でも他をリードしてします。収穫されたピーナッツの半分以上がピーナッツバターに使用されています。アメリカでは毎年7億ポンド、(3億1千キロ)以上のピーナッツバターが消費されています。
サウスカロライナ州では茹でたピーナッツが有名です。
シンボル②公式な州 野菜:ヴィダリアタマネギ(Vidalia Onions)
ジョージア州ヴィダリアの町で1930年初頭に栽培が開始されました。栽培されている土壌は硫黄が少ないため、非常に甘いタマネギになります。
1990年にジョージアの公式州野菜に選ばれました。
シンボル③公式な州 野花:西洋ツツジ
1979年に指定されました。特定の品種は指定されていません。
シンボル④公式な州 哺乳類:オジロジカ
2015年に指定されました。オジロジカは時速40マイルまで走り、9フィートのフェンスを飛び越え、時速13マイルで泳ぐことができるそうです。
シンボル⑤公式な州 クォーター
アメリカには50州25セント硬貨プログラムがあり、States Quartersとして知られています。
ジョージア州では、州の公式フルーツであるピーチ、州の木であるLive Oak(オーク)に、州のモットーである、wisdom(知恵)、justice(正義)、moderation(中庸) が書かれてあります。
50州それぞれに柄が違うクォーターがあるので、コレクションする人も多いです。その方々のためにコインを保管できる台紙があります。
アメリカはカード社会なのでコインを集めるのは大変かもしれませんが、クォーターを見たときに確認してみるのも楽しいかもしれません。
台紙だけではなく、コインがセットになっているものもあります。
他にもたくさんの州公式〇〇があります。州ごとに違うので、チェックしてみても楽しいと思います。
ピーチが描かれているもの
ジョージア州にはピーチが描かれているものがあります。先に紹介したクォーターもその一つですが、以下の二つもそうです。
Welcome sign
アメリカでは州の境界の道路にWelcome signがあります。日本では「市町村案内標識」と呼ばれるもので、北海道の市町村案内標識を「カントリーサイン」と呼んでいたことより、市町村案標識をカントリーサインと呼ぶケースが増えてきています。
標識がイメージつきづらい方は、国土交通省のHPより「2 都府県・市町村の境界や地点を案内する標識」をご覧ください。(こちらを参照)
日本だと道路のわきに小さく、ひっそり立っているイメージですが、アメリカは結構大きく立っています。
名物などのシンボルが描かれることも多く、州ごとにデザインが異なります。ジョージア州は、州の象徴であるピーチと、州歌である”Georgia On My Mind”の歌詞の一部になぞらえて”We’re glad Georgia’s on your mind”と書かれています。
ナンバープレート
車のナンバープレート(license plate)のデザインも、一般的なものであればピーチが描かれています。二つ目の写真のナンバープレートにはpeach stateって書かれてありますね。
アメリカの桃
アメリカでモモを食べたときの正直な感想は、「美味しくない…」でした。日本のモモを想像して食べてはいけません。ジューシーでもなく、柔らかくもなく、栗のような食感でした。生より、焼いたほうがおいしいのかもしれません。
購入したピーチはカリフォルニア産でした。カットした感じはこんな感じ。
アメリカではコブラー(Cobbler)と呼ばれる焼き菓子にすることも多いようです。コブラーとは果物を大きな焼皿に敷き、液状の生地をかけたりビスケット、パイ生地で覆ってからオーブンで焼くお菓子です。
実は、コブラーに関するギネス記録があります。それは「最大のフルーツコブラー」で、その重量1,021kgです。2015年6月27日に米国ルイジアナ州で開催された第65回ルイジアナピーチフェスティバルのために作られました。
このピーチコブラーを作るために、371kg(819ポンド)の桃、141kg(312ポンド)のバター、155kg(343ポンド)の小麦粉、276リットル(73ガロン)の牛乳、0.45kg(1ポンド)のベーキングパウダー、205kg(454ポンド)の砂糖を使用し、調理に6時間かかったそうです。
桃の種類
根本的に日本の桃とは種類が違うのだろうと思ったので、桃の種類について調べてみました。
ちなみに桃は、バラ科モモ属です。
桃の分類方法① カテゴリー
果肉(中果皮)からピット(内果皮)を取り除くのが、容易か、容易でないかで分けられます。
容易…freestone(フリーストーン)
容易でない…clingstone(クリングストーン)
フリーストーン
•果肉(中果皮)からピット(内果皮)を取り除くのが容易。
•果肉の色:黄色または白色
•冷凍、焼く、酢漬け、缶詰、フレッシュに食べる
•クリングストーンほどジューシーではない。
クリングストーン
•果肉(中果皮)からピット(内果皮)を取り除くのが容易でない。
•果肉:黄色が多い
•デザート、缶詰、ジャム、ゼリー、酢漬け向け
セミフリーストーン
•フリーストーンピーチとクリングストーンピーチのハイブリッド
•果肉:白色または黄色
•ネクタリンピーチの多くは、セミフリーストーン。
桃の種類を分類する方法② 品種 果肉の色など
白桃…アジア諸国で人気(日本で最も多く出回っている品種。日本の桃は、ある農家さんの桃がギネスに認定されたこともあるくらい、甘いです。)
黄桃…ヨーロッパ、北米で人気
ネクタリン…果皮に毛がなく、ツルツルしている。
蟠桃(ばんとう)/ドーナッツピーチ/サターンピーチ…平らな形。
最後に
フルーツを食べたときに思うのが、日本のフルーツは農家の方の努力の賜物だということ。どのフルーツも甘く、一粒一粒を大切に育てているんだろうなということが伝わってきます。とってもジューシーで甘く、アメリカの桃を食べたとき、アメリカ人にも日本の桃を食べてほしいと思いました。
でも私はアメリカのフルーツも大好きです。イチゴは酸味があるので甘すぎず、何粒でも食べられそうな感じです。ブドウは粒の大きさがバラバラしてますが、そこも魅力だと思っています。スイカはびっくりするほど大きいのに安い!ブルーベリーは食べるごとに甘かったり、酸っぱかったり。とても面白いです。
日本人はフルーツを食後のデザート感覚で食べるのに対して、アメリカ人は学校のスナックに持って行ったり、大人がスポーツするときや会社にジップロックに入れて持って行ったり、手軽にパクパクと食べるイメージです。そのためあまり甘すぎなくてもいいのかもしれないですし、日本人の商品を改良していく精神がすごいのかもしれません。
最後はフルーツネタに代わってしまいましたが、興味を持ってもらえたら幸いです。